最近の映画やゲームなどでは、出てくる銃器にほぼ装着されていることが多い光学照準器。
主に近距離用で使用される、等倍率の光学照準器の主流は、ドットサイト(Dot sight)とホロサイト(Holographic weapon sight)になります。
どちらも世界中で、軍用や官用、民間用としても使われており、照準するための道具として用途は一緒ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
ドットサイトとホロサイトの違いとは?
ドットサイトとホロサイトの大きな違いは、照準のために表示される光点(ドット)や指標(レティクル)が、何を使って表示されているのかになります。
名称 | 使用されている光 |
---|---|
ドットサイト | LED |
ホロサイト | レーザー |
表示形式の違いにより、構成される部品やレンズなどの数や形状が変わり、さまざまな特色や特徴が生まれています。
ドットサイトとは
ドットサイトは、照準の目安に表示されるドットなどの指標を、LEDでサイト内のレンズに投影する方式の光学照準器になります。
ドットサイトというだけあり、赤色や緑色のドットが表示される物が一般的です。
ドットの明るさ(輝度)は、段階的に調整できるものがほとんどで、暗い屋内では輝度を低くしたり、晴天下の屋外では輝度を高くしたりして、ドットを視認しやすくすることがができます。
また、ドットサイト本体に周囲の明るさを検知するためのセンサーが付いていて、自動で輝度を調整してくれるものもあります。
特殊な環境下や用途用に、赤や緑以外の色を使ったり、距離によって使い分けられるドット以外の指標を持つもの(例:HOLOSUN HE503R-GDなど)もあります。
ドットサイト最大の短所は、正面以外からサイトを覗き込むと、ターゲットとドットにパララックス(Parallax)という視差が生じ、射撃時の精度が下がってしまうことです。
参照:YouTube
ホロサイトとは
ホロサイトは、レティクルと呼ばれる、ドットやサークルなどの図形を組み合わせた照準の目安となる指標を、レーザーでサイト内のホログラフィックフィルムに投影する方式の光学照準器になります。
ホロサイトのホロは、ホログラフィックの略称です。
ホロサイト最大の利点は、ホログラフィックで投影されるレティクルのおかげで、どの位置からサイトを覗いてもターゲットとレティクルに視差がまったく無いことです。
また、レティクルはレンズに表示されている訳では無いので、対物レンズの汚損・破損時でも、レティクルが表示できるエリアが残っていれば、サイトを覗く位置を変えて使用することができます。
ちなみにレプリカのホロサイトは、ほぼすべてホロサイトの外形やレティクル形状を真似たドットサイトなので、ドットサイトと同じく視差が存在します。
ドットサイトとホロサイトの違い一覧
同じような用途で使用されるドットサイトとホロサイト。その違いを表にまとめてみました。
違い | ドットサイト | ホロサイト |
---|---|---|
表示方式 | LED | レーザー |
価格 | 安価な物から高級なものまで幅が広い | 高価 |
バッテリーの持ち | 長い(20,000時間 等) | 短い (1000時間 前後) |
視野 | サイト形状によっては狭い | 広い |
レティクル視認性 | 価格やレンズ特性による | 良い |
形状 | ハンドガンでも使用可能な小型の物もある | 構造上比較的大きい |
サイトを斜めから見た場合 | 視差(パララックス)あり | 視差(パララックス)なし |
ドットサイトとホロサイトを比べると、ホロサイトの方が優れた特徴が多いものの、最大のネックは価格や電池代などのランニングコストの高さです。
また、ホロサイトは構造的に小さく作ることが難しく、最近流行しているハンドガンのスライドに直接光学機器を載せる用途には、選択肢的にドットサイトしかありません。
ドットサイトは価格に幅があり、高級なものはもちろん付加価値も多いですが、自分が性能的や形状的に好きな物を選ぶ、というのも大切です。
安価な物でも正しい使い方を理解していれば、実用度は非常に高くなります。
おすすめのドットサイト3選
実用性も形状も自分の好みで、金額も納得できるのであればホロサイト一択ですが、ホロサイトの実物はどうしても高価になってしまいます。
見た目重視なら形状の再現度が高いレプリカのホロサイトを選べば良いですが、レプリカのホロサイトの仕組みはドットサイトと同じ。
また、レプリカはどうしても品質が劣るため、実戦での使用では不便さを覚えてしまうかもしれません。
どれを使ったらよいのか自分で選びにくいようでしたら、まずはコストパフォーマンスに優れて、それなりの品質のドットサイトで光学照準器の使い方に慣れてみるのがおすすめです。
ここではおすすめのドットサイトを3つ紹介します。
ベクターオプティクス ドットサイトScrapper
出典:ベクターオプティクス ドットサイト Scrapper 1×25 Red Dot Sight Vector Optics
商品名 | ベクターオプティクス ドットサイト Scrapper 1×25 |
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重さ | 190 g |
光量調整 | 8段階 + 2段階(ナイトビジョンモード) |
対応バッテリー | CR2032 x1 |
電池寿命 | 50,000 時間 |
価格 | ¥14,800(税込) |
シンプルで小型ながらも実用性は高く、付属のハイマウントやローマウントでM4などのアサルトライフル、MP5などのサブマシンガンや流行しているピストルキャリバーカービンなどにもバランスよくマッチングします。いわゆるAimpoint T1互換と呼ばれる、チューブ式のドットサイトです。
ベクターオプティクス ドットサイト ノーチラス
出典:ベクターオプティクス ドットサイト ノーチラス 1×30 Vector Optics SCRD-26II
商品名 | ベクターオプティクス ドットサイト ノーチラス 1×30 SCRD-26II |
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重さ | 270 g |
光量調整 | 11段階 |
対応バッテリー | 単3電池 x1 |
価格 | ¥9,100(税込) |
視野が広いのでサイティングしやすいです。その分大きさ、重さも増しますが、マウントがQD(Quick Detach)式の為、取り付け・取り外しがしやすく、他の銃と共用して使う場合に便利です。先に上げたScrapperよりもチューブ径が大きいドットサイトです。
使用する電池が単3、1本というのも、緊急時にコンビニなどで入手しやすいのが利点です。
ベクターオプティクス ドットサイト フレンジー
出典:ベクターオプティクス ドットサイト フレンジー 1x17x25 GenII Vector Optics SCRD-19II
商品名 | ベクターオプティクス ドットサイト フレンジー 1x17x25 GenII SCRD-19II |
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重さ | 56 g |
光量調整 | 8段階 + 2段階(ナイトビジョンモード) |
対応バッテリー | CR2032 x1 |
電池寿命 | 20,000 時間 |
価格 | ¥11,100(税込) |
ハンドガンのスライドに装着できるほど小さくて軽いですが、実銃対応品なので、反動の大きなガスブローバックハンドガンでも、ドットが飛んだり、ずれたりせず実用度は非常に高いです。上記二種のドットサイトとは違い、オープン式のドットサイトになります。
まとめ
ドットサイトとホロサイト、同じような用途で使われるものの、さまざまな違いがありました。
実用性も形状も自分の好みで、金額も納得できるのであればホロサイト一択ですが、見た目重視なら形状の再現度が高いレプリカのホロサイトを選ぶのも良いですし、ドットサイトの特性を理解して使用するならば実銃にも対応した、実用性も高く、メーカーの特色やデザイン性も様々なドットサイトも良いでしょう。
どれを使ったらよいのか自分で選びにくいようでしたら、まずはコストパフォーマンスに優れて、それなりの品質のドットサイトで光学照準器の使い方に慣れてみて、もうすこししっかりとしたものを使用したいと感じたら高価な物やホロサイトも考えてみるとよいでしょう。