Trijicon SRSドットサイトレプリカのレビュー
Trijicon SRS(Sealed Reflex Sight)はアメリカの光学機器メーカーTrijicon社が2013年から2019年にかけて販売していた密閉式のダットサイトである。対物レンズ径38mmの広い視野や短い全長、ソーラーパネルと単3電池の動力源などを特徴としていたが、現在は廃番となった。
今回はそのレプリカ品をレビューする。レプリカなので外観形状は実物を模しているが、その性能、耐久性は実物と異なることも多く、ドットの見え方や狙点調整含めてレビューをしていきたい。
Trijicon SRSドットサイトレプリカを開封
商品が入っている箱は近年のレプリカドットサイトに多いプラスチック製のハードケースだ。原型となった製品名の他にSolar Power! の文字が強調され表示されている。
箱を開けると中は光学機器本体と付属品でぎっしり。
商品構成は、
- Trijicon SRSドットサイトレプリカ本体
- キルフラッシュ
- クリーニングクロス
- 狙点調整用六角レンチ
となっている。レプリカ品でも取扱説明書がついてくると思っていたが付属せず、手探りでの操作となった。
対物レンズは綺麗なルビーコートになっている。動作用の乾電池は対物レンズ左下のスペースにこちら側から入れる。
上面にはソーラーパネルが供えられている。晴天時に屋外に出てみたが、電池を入れない状態では無論点灯せず、屋外使用の晴天時にドットの光量が明るくなる等もなく、ソーラーパネルが動作しているのかは分からなかった。
実物は本体が完全な艶消しのようだが、このレプリカは艶と言うかテカリがある。
接眼レンズには反射防止とドットの視認性を上げる青いマルチコートがかかっている。暗すぎず、明るすぎず、絶妙で見やすいと感じた。
接眼レンズ下には上下方向の狙点調整用のボルト頭がある。
右側面には使用する電池の規格とシリアルナンバー、そしてTrijicon社の写真では確認できないPROPERTY OF TRIJICONの刻印がある。様々な訴訟を回避するための一文なのかもしれない。
また、ドットの光量調整用ボタン(マイナス側)と、銃への取り付けを行うためのQDレバーがこちら側に供えられている。
左側面にはドットの光量調整用ボタン(プラス側)と左右方向の狙点調整用のボルト頭、そしてSRSの刻印がある。
実物ではこの刻印は浮き彫りで行われているようで、明らかにレプリカ品と異なる点である。
驚いたのは使用する乾電池についてだ。本体にもAAを使用するような刻印が刻まれており、実物もそうなのだから、と考えていたら収納スペースに単3電池は長すぎて全く入らない。単4電池では太さは余るが収納でき、点灯にも問題がないのでどうやら元々単4電池を使用する前提のようだ。
付属するキルフラッシュの取付は、接眼レンズに切られたネジに合わせねじ込むことで問題なく行うことができた。
Trijicon SRSドットサイトレプリカの使用感をレビュー
M4、そしてより近代的なイメージの銃としてタボールへ取り付けた。どちらもKSC社製のガスブローバックで、上面にピカティニーレールを供えている。
特に取り付け幅の調整等をすることなくQDレバーの開閉のみで、グラつき等なくガッチリと取り付けることができた。
ドットサイトのみを見た当初は、「大きめのドットサイトだからM4等の幅が薄い銃には似合わず、近代的な銃の方が似合うだろう」と考えていたが、実際に取り付けたM4を見てかっこいい!と言ってしまった。実際に組み合わせてみる大事さを改めて実感した。
ドットの点灯操作は、
- 消灯状態からプラスボタンまたはマイナスボタンを押すと点灯。
- プラスボタンで光量増、マイナスボタンで光量減、それぞれのボタンを長押しし、連続して光量を変更することも可能。
- 20段階に調整でき、調整可能なうちはボタンを押すごとに一瞬ドットが消灯する。
- プラスボタンとマイナスボタンを同時に押すと消灯。
となっていた。
写真は最小光量での点灯であるが、室内灯の中では視認性に問題なく、十分な見えかただった。
室内での最適な状態での点灯。実物のドットサイズは1.75MOAだが、このレプリカでは3MOAといったところだろうか。ドット自体は変に滲むこともなく、レプリカとしては上々の写りだと感じる。
最大輝度での点灯。秋口の屋外では見辛さを感じることはなかった。LED光源の室内灯に向けると一瞬見失うが、かろうじて見える程度の光量であるので、真夏の炎天下での使用は厳しいかもしれない。
付属するキルフラッシュをつけた状態。このキルフラッシュの目の大きさが揃っておらず、また網目を形成する金属の厚み部分が外光を反射してしまい、非常に見辛かった。
相手からこちらの光源やレンズの反射を隠す、と言う機能は果たしているのかもしれないが、キルフラッシュ自体が反射する、付けるとそもそも狙い辛くなるなどのデメリットの方が大きく、このキルフラッシュは実用には耐えないだろう。
狙点調整についてはそれぞれのボルトにクリック感があり、上下方向は全部でボルト8回転、左右方向は9回転の調整範囲を持っており、十分な調整が可能だ。しかし左右調整のボルトのうちL側には、調整範囲を超えてもどこまでも回ってしまっていくようなので注意が必要である。
左右調整は地面と並行に左右に動くのではなく、レンズの円周方向に動いていくので、調整を行った場合上下方向の修正も必要となる。その動き方の影響からか、上下方向の調整時にも左右方向の変化が見られるので、狙点調整には苦労する。
また、左右調整はボルトの保持がゆるく、ガスブローバックやリコイルのある電動ガンに載せた場合はどの程度まで耐えるのかは分からず、留意が必要である。
Trijicon SRSドットサイトレプリカのレビューまとめ
レプリカドットサイトとして実物と同一の外観形状を求める方には十分かもしれないが、照準器として使うには疑問が残る。ドットの見え方やレンズの明るさなどは、ノーブランドのレプリカでもここまで来たのか、と思う面があったが狙点調整の動きや、取扱説明書が付属せず使用する電池が不明な点など信頼性という面ではやはりノーブランド、やはりレプリカかと感じた。
コスパを求めるならレプリカは合わないことも…
レプリカは模型・玩具であるとはいえ、商標等に厳しくなった現代では問題になる可能性がある。製造元もノーブランドとされている場合が多く、問題があった場合の責任の所在も不明確だ。同じ商品名のものを購入しても、見え方や細部が異なる場合も多い。
外観だけ同じ様なものを求めているのであればレプリカでも良いが、照準器・光学機器としての性能を求めるのであれば、レプリカと同等の価格でエアソフトガン 用として販売されている実物光学機器が購入できることもお伝えしたい。
今回レビューしたTrijicon SRSは実物が廃番となっており、類似形状のドットサイトは存在しないが性能面で見るとベクターオプティクス社のノーチラス SCRD-26IIが上げられる。
近年では対物レンズの小さな照準器が主流となってきており、特にドットサイトでは対物レンズが大きなものは減ってきている。そんな中で対物レンズ系30mm、電源に単3電池使用、と近い仕様を持ち、信頼性に乏しいレプリカと異なりエアソフトガンレベルであれば十分に使用に耐える。
ご自身の重視したい内容に応じてレプリカと実物を上手に選択していただきたい。